約5年ぶりの天守閣内部公開はじまるよー
2021年6月28日(月)からいよいよ熊本城特別公開第3弾が始まります。
天守閣完全復旧&約5年ぶりの天守閣内部公開は待ちに待った特別な日になりそうです。
特別公開もいよいよ第3弾となり、駆け足で紹介した「天守閣内部をいち早くリポート」のブログに書ききれなかった天守閣内部をより詳しくご紹介します。
★かぶる部分もあるかと思いますがあたたかい気持ちでご覧下さい★
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小天守地下が天守閣見学の入口です
大天守は一見、石垣の上に3階建の建物に見えますが、実は外観3重・内部は地上6階地下1階建ての建造物です。
同じく小天守も石垣の上は2階建の建物に見えますが、実は外観2重・内部は地上4階地下1階建ての建造物です。
入口は右側にある小天守の地下1階にあたる石垣の部分で、出口は左側にある大天守の地下1階にあたる石垣の部分となります。
入口まではスロープが作られ、バリアフリー対応に生まれ変わりました。
小天守の入口に進んでいくと、九曜紋(左・細川家)と蛇の目紋(右・加藤家)ののれんが見えてきます。
小天守の石垣の上には敵の侵入を防ぐ尖ったやりのような忍び返しと呼ばれる鉄串が仕掛けられ、通路左右に石垣は、熊本地震後に崩落落防止ネットがかけられ安全が確保されています。
そして中に入る前に高所恐怖症の方は一歩踏み出すのに勇気がいる場所が。。。
もともとここは小天守入口で石階段があった場所です。スロープになりましたが透明床が設置され小天守石階段が下にみえるようになりました。
そんなに高さもない場所なんですが下が見えるとちょっと、と思いながら大股で渡りました。
さて、中に入るとすぐに天井まである大型スクリーンは、迫力ある映像と重低音の音で出迎えてくれます。
小天守石垣の内部は穴蔵と呼ばれる地下層になっており、ここには台所があったそうです。
そのため、現在も井戸が残っています。
昔はよくこの井戸に向かって深さがどれくらいあるか大きな声で叫んでいたような気がします。
熊本市内の小学生はスケッチ大会や社会科見学などで熊本城を見学していましたので、1人がしだすとみんなが叫び出す謎の行動です。
また、ネットが張ってありますが小さいものやボールペンなど落としたら戻って来ない深さがありますので気をつけて下さい。
左手には1階にいける石階段が残っています。
こちらの石階段は1階からも見えるように展示してあります。1階に行った際にもぜひ見て下さい。
1階からの写真はこちら。
また、今回から耐震補強と来館者の安全確保のため、オイルダンパーが設置されました。
そしてなんといっても今回の熊本城特別公開第3弾から天守閣内部にエレベーターが付きました!!
利用は車椅子利用者(介添者含む)、視覚に支障のある方、階段の利用が困難な方に限りますが復旧前まではエレベーターがありませんでしたので見学したくても断念されていた方は内部の見学も可能になります。
それでは、各階をご案内していきましょう。
1階、加藤時代
今回の公開では、今までの展示内容が刷新され全面リニューアルされました。
各階、築城当時〜現代まで4つの時代ごとに展示されその時代の熊本城を知ることができます。
小天守穴蔵から1階へ進むと、熊本城のはじまりとして加藤清正の熊本城築城、熊本城下の河川改修など加藤時代の熊本城の紹介です。
ちなみに、意外と知られていない事実として小天守は築城当時からあったわけではなく、加藤清正の死後、息子・忠広時代に増築されて熊本城の大小天守として完成しているんですよ。
もう一つちなみにですが、この1階部分は小天守と大天守で1フロアになっており、展示内容が一番多くありますので見応え十分です。
2階以上は大天守のみの内部を見学していく構造になりますので上層階に行くにつれ、床面積が少なくなっていきます。
※小天守2〜4階部分については非公開部分となります
模型も複数ありますのでいくつかご紹介しましょう。
まずは、天守軸組模型(縮尺約1/10)です。
昭和35年の天守再建にあたり制作された模型で、熊本地震後の外観復元においても貴重な資料となりました。
従来型の展示ではパネル等での解説でしたが、今回はタッチパネル式のデジタルコンテンツでより詳しい説明が見られます。
もちろん、タッチパネル式の画面に触りますので、アルコール消毒装置が設置済みです。
次に紹介するのが、触って学べる大小天守模型です。
こちらは触ってOKの模型になりますので、目で見て手で触って熊本城を学習できます。
宇土櫓バージョンもありますよ。
近くには熊本城にある櫓の特徴を紹介しています。
こちらは天守に使われている実寸サイズの破風です。
とても大きくて迫力満点です。が大きさが伝わりづらいですね。上部は天井近くまであります。
こちらの模型は「御上段模型」です。
大天守最上階6階「御上段(おじょうだん)」の模型で、内部は江戸時代の平面図や古文書をもとに復元されました。
内部もすごく精巧に作られています。
次に紹介するのは石落しと狭間(さま)です。
この石落しと狭間は敵襲の際、天守閣内部から攻撃するための機能です。
右上に縦に空いている狭間はこの穴から鉄砲や弓矢で攻撃し、横長に空いている石落しも石垣から上がってくる敵を攻撃するためのものです。
鯱瓦や瓦なども展示してあります。
そして変わりだねの展示物を1つ紹介。
空中雪隠、つまり便所ですね。
便器が建物の外側に張り出した空中に設置されたことから空中雪隠と呼ばれています。
作られた当時も実際には使われていないとのことでした。フタ付きの和式トイレでどうなっているかフタを開けたいところですが、中には入れませんのであしからず。
他にもまだ紹介していないものもあります。
映像シアターは撮影NGの為、こちらは実際に訪れて体感して下さいね。
はい、次は細川家時代の2階へご案内〜。
2階、細川時代
加藤家改易の後、細川忠利が熊本へ入国して以後は細川家が熊本城主となります。
その細川時代の熊本城を紹介しているのが2階フロアです。
加藤家時代に作られた熊本城ですが、細川家時代には維持・管理・整備が進められていきます。
天守は籠城する際に武具類や食料が備えられていました。
加藤時代からの武具とともに、細川家の甲冑類が大量に保管されていたそうです。
次は模型をご紹介。
城郭・城下模型(縮尺約1/500)は昭和56年に製作されたものに今回一部追加製作されたもので、熊本城を中心とした坪井川や堀・土塁に囲まれた惣構(城下町一帯を含めて外周を掘や土塁で囲いこんだ城郭構造)の特徴が展示してあります。
こちらは、模型上にプロジェクションマッピングが映し出され、タッチパネル式の情報コンテンツでナレーション解説がされます。従来型の模型展示に現代のプロジェクションマッピングが融合した新旧合体の展示方法でした。
そんな中、アナログ的な展示方法もあります。
御城内御絵図を読み解くがテーマの展示物で、透明フィルムで前と後のように比較できる展示方法になっています。
自分でめくらないとわからない体験型の展示物ですね。
さて、熊本城の絵画は、加藤時代は狩野派の絵師、細川時代は矢野派の絵師だそうです。
ここでは矢野派が描いた絵の複製が展示してあります。
はい、次は近代です。3階へ行きましょう。
3階、近代
このフロアーでは明治以降の熊本城を紹介します。
この近代において大きな出来事はなんといっても西南戦争で築城当時の大小天守が火災に遭い焼失したことです。
日本最後の内戦といわれる西南戦争では熊本城は政府軍の熊本鎮台となっていました。失火や放火などはっきりした原因がわからない火災ですが、熊本城に植えられた銀杏の木が天守閣の高さになった時禍いが起こるという言い伝えがあり、まさにその通りになったといわれています。
そして、大小天守の火災焼失から12年後の明治22年にはマグニチュード6.3と推定される直下型地震が熊本を襲い、ここで熊本城は大きな被害を受けています。
その後、熊本のシンボル熊本城復興を願う市民らの寄付により、昭和33年に熊本城天守の再建がきまり、昭和35年に今の大小天守が出来上がりました。こちらは7分間の映像シアターで見ることができます。
天守閣の構造上、上の階に行くにつれ徐々に狭くなってきました。
はい、次は現代です。4つの時代最後のフロアですよ。
5階は通路です
5階は6階の通路になっているだけになりますので展示物はなしです。
6階の展望所には階段でいきますが、意外と急な角度になっていますのでご注意ください。
はい、次は最上階6階の展望フロアです。
最上階、展望フロア
熊本県産の檜でリニューアルしたフロア内は東西南北の四方から熊本市内を一望することができます。
こちらは阿蘇外輪山が見える東の方角です。
次は西側の眺望です。
遠くは金峰山、手前には宇土櫓が見えます。
北側は小天守の屋根が見え、しゃちほこがばっちり見えます。
南側は熊本城特別公開第2弾でできた地上約6mの特別見学通路が見えます。
展望フロアでは、東西南北の各方角の窓に「ARマーカー」設置されています。
こちらを熊本城公式アプリで読み取ると、現在の風景に明治時代初期の古写真を重ねて眺望を見比べることができます。
どのくらい変わったのかを見られるのは面白いですね。
出口は大天守の地下です
約5年ぶりに公開された天守閣内部はいかがでしたか?
全部紹介しきれていませんので、ぜひ見学しに来て下さい。
さて、出口は大天守の地下になりますので階段で降りて向かって下さいね。
大天守地下も石垣の内部は穴蔵となっており、当時は塩が保存されていたそうです。
大天守石垣の中を通りながら出口まできました。
こちらの写真は出口を出て見上げた大天守です。
今回、天守閣内部のみ詳しく紹介しました。
天守閣内部見学終了後は、北ルートで来られた方は南ルートへ、南ルートで来られた方は北ルートで帰るのをオススメします。
トイレとエレベーター情報
天守閣内部のトイレは大天守側にしかありません。
<一般トイレ> 大天守 地下1階
<多目的トイレ> 大天守 1階
となり、小天守側にはありませんのでご注意ください。
また、エレベーターにも注意が必要です。
①小天守 地下1階 → 小天守 1階 まで1基
②大天守 1階 → 5階 まで1基 ※小天守1階と大天守1階はフロアが繋がっています
③大天守 5階 → 6階 展望フロア まで1基
大天守の構造上、上に行くにつれ床面積が小さくなりますので5階と6階のエレベーターが別になったようです。
エレベーターを利用する方は出口も一般の大天守出口ではなく、入口である小天守が出口となります。
展望フロアから3基利用しないと出口(入口)には戻って来られませんので時間に余裕をみた方がいいかもしれません。
遊び心も満載。秀逸な渡辺流砲術図の展示方法。
せっかく入園料を払って入った熊本城特別公開ですが、天守閣内部に展示してある熊本城についての歴史や構造上の話など難しい展示だけではありません。
1階の加藤時代には熊本城の伝説、2階の細川時代の逸話など絵と文章でわかりやすい展示もされています。
わかりやすく面白そうな内容です。
今回刷新された展示物ですが、従来型のパネル設置ではなく、壁紙に直接解説や絵が施されていてフロア全体が美術館のようにアート作品になっている印象を受けました。
年表なども含めほとんどの紹介が壁紙と一体となっており、鮮やかな色も見事です。
その何気ない展示内容とアートの部分をひとつご紹介します。
熊本県立図書館蔵の渡辺流砲術図です。渡辺流砲術図が一歩一歩進むたびに違った絵となっており1枚の壁紙アート作品のようで、和紙等でみるものとはまた違った味わいで素敵です。
結局、見学時間はどれくらいかかる?
取材時に思ったのは天守閣内部の展示内容を考えると、熊本城見学にどれくらいかかるか知りたいのではないかと思いました。
熊本城特別公開第2弾までは天守閣を外から見るだけでしたので、主に歩く時間と写真を撮る時間が必要で、北ルート→南ルートの南口までは約40分〜60分ぐらいだったかと思います。
しかし、天守閣内部の見学に時間を要すると思いますので、第3弾は北ルート→天守閣内部→南ルートの所要時間は90分〜150分ぐらいをみといた方がいいのではないかと感じました。
本格的に全てのコンテンツを見学する人は、3時間〜半日かかるかもしれません。
もちろん、展望フロアだけでいいという方は早いです。
公開直後などは特に天守閣内が密にならないよう人数制限が行われますのでもうすこし時間がかかる可能性があります。
また、暑い時期に差し掛かりますので、こまめな水分補給と休憩に気をつけて見学して下さい。